移住しちゃう?

石巻への移住を考える人へのヒント集

vol.9

2016.06.22

石巻的!物件さがし

こんにちは!

今回から『移住しちゃう?』のコーナーで記事を書かせていただくことになった

フリー建築士の天野美紀です。

約2年前に、東京から石巻へ移住してきました。

(詳しくは、以前取材してもらったこちらの記事を参照ください)

建築のプロとして、先に移住した者として、

これからみなさんに役立つ情報や豆知識をお届けしていきたいと思います!

まずは、私自身がどうやって石巻で物件を見つけたか、

その方法について書きたいと思います。

『ぼにぴん』の石巻さかな女子部のメンバーでもあります!

天野美紀(37歳)、『ぼにぴん』の石巻さかな女子部のメンバーでもあります!

 

【石巻には物件がない?】

物件を借りよう! そう思い立ったとき、

まずは不動産屋さんに行ったり、ネットで検索するのが一般的ですよね。

引っ越し好きの私は、社会人になってから2年に1度のペース、

計7回(改めて数えて自分でもビックリ!)の引っ越しを経て、石巻に流れ着きました。

ちなみに関東近郊で物件を探したときは、

①    ネットで検索して目星をつけ、

②    不動産屋さんに連絡を取り、

③    物件を内見し、

④    気に入ったら契約

というステップ。

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一般的な引っ越しの手順はこちら

 

ところが同様の方法で「石巻」を検索してみると、

アパートタイプが8物件、一戸建ては0件という少なすぎる結果にビックリ!

物件数No.1と言われる某住宅情報サイト、

条件は最寄り駅を「JR石巻」と指定しただけでした。

 

さらに、出てきた物件を見ると

1LDK~2DK・45~55㎡とやや広めではあるものの、

「駅から徒歩20分、家賃6万円、アパート」などと、

面積以外は首都圏の条件とあまり変わらない印象。

これでは、住やすさという点で地方移住・田舎暮らしに憧れる人にとって、

ちょっと出鼻をくじかれる結果ですよね。

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実際の検索画面がこちら

 

【地元の不動産会社に足を運ぶ】

ちなみに同じサイトで「仙台」を調べてみると1328件ヒットしました。

なぜこんなに違うのかというと、

人口が、仙台108万人に対し、石巻14万人(2016年現在)。

石巻はそもそもの人口が少ない上、持ち家住まいが多いので、

表に出てくる賃貸物件の情報が非常に少ないのだと予想しています。

それでも震災後は、にわかに賃貸需要が高まり、

新築賃貸件数が急増しているようではありますが……。

 

とにかくネット検索だけでは、

石巻で理想の物件を探すのは難しいのが現状。

そこで次なるアクションとしては、

地元の不動産屋さんに直接問い合わせるという方法があります。

私もためしに、いくつかあたってみたところ、

中には70件以上の賃貸情報を持っている会社もありました。

特に大手チェーン系は、建設中の新築アパートの情報を豊富に持っていますので、

新築賃貸を希望する方にはオススメと言えるでしょう。

また、首都圏ではあまり目立ちませんが、地元の農協などが管理する物件も多く、

たとえば40~50㎡くらいの平屋1戸建てが、

もともとは農地だったエリア、閑静な新興住宅地に多く見受けられます。

元農地などの場所に作られた賃貸用の戸建て物件。大家さんが近くに住んでいるケースが多い

元農地などの場所に作られた賃貸用の戸建て物件。大家さんが近くに住んでいるケースが多い

 

しかし、私が最初に探したのは「店舗物件」。

震災後、多くのボランティアの人たちが高速バスで石巻にやってきましたが、

早朝に到着後は、近隣にあいているお店もなく、お腹がすいて、休む場所がありませんでした。

そこで私はこの石巻に、週末だけでも早朝から入れるレストランを作ろうと、

JR石巻駅付近で飲食店として使える「店舗物件」を探し始めたのです。

ネットで検索してみると……なんと結果は0件。

昔ながらの小さな不動産屋さんなら情報を持っているかも、と思い、

直接訪ねてみましたが、あってもせいぜい1~2件という感じで、

どうにも非効率的でした。

 

【直接アタックで理想の物件をゲット!】

そもそも、石巻には空き物件がないのかというとそんなことはありません

震災後しばらくは物件不足と言われましたが、

街を歩いていると、人気のない民家やシャッターが閉まったままの店舗が結構目につきました。

私はとにかく駅の近くに店を構えたかったので、

駅周辺を歩いて空き店舗を物色し、「これだ!」という物件を発見。

しかしなんの案内もなく、所有者の連絡先や本当に空き店舗なのかさえわからなかったので、

お隣りの飲食店に飛び込み、

「隣りの建物は空いてますか?

持ち主をご存じでしたら教えて頂きたいのですが」と言って、

大家さんの名前と連絡先を突き止め、直接賃貸交渉をしました。

私の場合は幸運なことに、

ボランティアで通っている間に顔見知りになっていた人がたまたまその大家さんだったので、

とてもスムーズにお借りすることができました。

その後は石巻でスタッフを雇用。

自分は毎週末に東京から通うなどしてレストランを1年間運営しました。

石巻へ完全移住したのは2014年。

その時の家探しも、不動産屋を介さず、知人に大家さんを紹介してもらい、

お店の目と鼻の先という最高の場所に居を構えることができました。

なんでもあたってみるものですね◎

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長く空き家になっていた古民家をリノベーションした、JR石巻駅から徒歩数分の立町・富貴丁通りにある「日和キッチン」(右側の建物)。自宅は、そのお向かいにある古い2階建て一軒家を借りることができました

 

【直接契約のメリット&デメリット】

結論から言うと、賃貸契約は不動産会社を通さずとも、

大家さん(貸主)と自分(借主)だけでできるもの。

一般的な賃貸契約書であれば文房具屋さんでも簡単なひな形が販売されていますので、

家賃や面積などの諸条件を確認し合って記入し、署名・押印を交わせばそれでOKです。

契約書のひな形は、国交省のホームページからダウンロードすることもできますが、

特に古民家などを借りる場合は、原状復帰などの条文が実状に合わず、

退去時にトラブルとなる可能性があるので要注意。

いずれにしても大家さんと細かく相談のうえ、

可能な限り、実状に合う契約書を用意するのが望ましいです。

国交省のHPからダウンロードできる一般的な契約書

国交省のHPからダウンロードできる一般的な契約書

 

また一般的に賃貸契約時には、

「敷金・礼金、保証金・仲介手数料」など家賃以外の費用がかかりますが、

大家さんと直接契約すれば、改修相談や家賃交渉ができるだけではなく、

不動産屋に支払う仲介手数料がかからないというメリットもあります。

なんだか借主側にとってはいいことずくめのような感じる直接契約。

しかし、大家さんにとっては

全く知らない人と直接契約を結ぶのはリスキーなので、

いきなり訪ねていって物件を貸りるというのは至難の技。

共通の知人を介して紹介してもらうなど、

大家さんが気持ち的にも安心できる状況であるほうが、交渉が成立しやすいです。

私自身は、店舗探し・家探しをきっかけに、

その後も大家さんやご近所さん達と親しくお付き合いをさせて頂き、

その影響もあって建物や通り・街や歴史への興味も深くなり、

想像以上に豊かな石巻暮らしを満喫しています。

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今や家族みたいになった街の人たちと一緒に。前列左が大家さん親子、前列右から2番目が私です

 

せっかくの新天地。

街の人たちと広く深く交流して、都会では味わえない移住ライフを楽しみましょう!

247748_465266256851992_185397144_n天野美紀(あまの・みき)/埼玉県出身。東京の一級建築士事務所アトリエ・天工人、ブルースタジオを経て2010年に独立。デザイン事務所「株式会社アトリエイーゼロサン」を設立し、主に住宅・集合住宅のリノベーションを手掛ける。震災後、縁あって石巻に入り、2013年には東京と石巻の二地域居住を実践しながら、石巻のおウチごはんとジビエ料理のレストラン『日和キッチン』を開業。2014年に、石巻への完全移住を果たし、現在も飲食店オーナー兼フリー建築士として活躍する。

 

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